昨年の1年を表す漢字は「税」でした。
今更ながら何ですが、私はこの文字の選考に疑問を持っている一人です。
といっても、別に「税」という漢字が昨年1年を表す漢字ではないというのではありません。
もっと象徴的な文字があるのではと思うのです。
その文字こそが「偽」です。
辞書的にいえば「欺」、あるいは、「疑」でもよいかもしれません。
人類を永遠の幸福の国へでも連れて行ってくれるかのような幻影を一時味わわせてくれたスタップ細胞の発見。
昨年末の衆院選で52,66%の投票率しかなかったにもかかわらず、改憲までも支持されたかのような発言を行う安倍首相。
世界の国のほとんどが国華として認めていないにもかかわらず、国華だと主張し、その主張を正当化するためにテロを繰り返すIS。
これらの出来事や主張にどの文字を当ててよいかはわかりませんが、いずれにしてもここ数年を表す漢字としては「偽」、「欺」、「疑」のどれかが良いのではと思っています。
私は過去のその年を表す漢字にどんな文字が選ばれたかについて詳細な記憶はありません。
だから、上に挙げた漢字たちが一度選ばれたことがあるという方が、
「それらを除いたら、この漢字になった」
と言われるのももっともだと思います。
でも、私はこう思っています。
「また同じ漢字が選ばれてもよいのでは。
それぐらいわが国は、いや、世界は腐敗しているのだから・・・・。」と。
ところで私たちが手がけているはり灸。
その作用や治療効果について「偽」や「欺」、あるいは、「疑」はないのでしょうか。
はり灸は長年その作用や効果に科学的根拠がないという理由で、現代医学からは無視に近い状態で扱われてきました。
たしかにそのとおりで、はり灸の効果を裏付ける科学的データもきわめて少なく、また、本場中国のように治療効果のあった症例を何千何万と挙げ、これによりはり灸の効果を証明しようという事実主義がまかり通っているのも現実です。
しかし、現代科学がすべての事柄を解き明かしているかというと、必ずしもそうとはいえません。
もし、現代科学がすべてを解き明かしているとすれば、宇宙誕生や生命誕生の謎に疑問は残らないはずです。
別の言い方をすれば、まだ未知の科学が存在するということになるでしょうか。
はり灸に関して用いられている科学を別の観点から見ると、次のような特徴があることがわかります。
私たちが行う治療の根源には、「内傷なければ外邪入らず」という概念があります。
どういうことか。
心の傷、すなわち、感情の極端なアンバランスが病を引き起こすといっているのです。
つまり、多少の起伏はあってもその人の許容範囲の中で喜怒哀楽が働いている限りは健康であるといっているのです。
また、全身のバランスの重要性も説いています。
すなわち五臓六腑がバランス良く働いていれば健康であるという概念を持っているのです。
このことから東洋医学では「局所を診ずして全身を診る」という考えが導き出されてくるのです。
皆さん、ちょっとがんの手術療法について思い描いてみてください。
皆さんの仲には、このがんなるもの、聞く話から、あるいは、体験から、局所に増殖しているがん細胞の塊を取り除けば、治癒すると考える方も多いことでしょう。
そして、すべてのがん細胞を取り除くことができないとき、転移、再発すると。
これはそのとおりだと思いますし私もそういう考えを全否定するものではありません。
しかし、忘れてはならないのは、局所の問題を解決すればそれですべてが良い方向に向かうという考えの間違いです。
人間は全身のバランスが取れてこそはじめて局所の状態も改善されるのだということです。
私たちが行うはり灸は、この全身のバランスを取るという働きに大きな役割を果たします。
皮膚に張りと潤いが出てくる、からだがぽかぽかと暖かくなるなどはその現れでしょうか。
さて、私のはり灸に関するここまでの話。
私の「欺」瞞に満ちた考えから生まれたものだと思いますか。
それともこんな話は「偽」りだとお思いでしょうか。
そして皆様のはり灸に対する疑問は払拭されないままなのでしょうか。