リセットⅡ

 前回は、人生や日常をなかなかリセットできない中壮年以降の方や、心の悩みをお持ちの方で自分をリセットすることが難しい方に、それを行わずに自分を見つめなおすヒントを少しお話ししました。
 今日はリセット可能な方々が、陥りやすい落とし穴についてお話します。

 人生をリセットする、日常をリセットするという行為はゲーム世代の特権のように思われがちですが、実は明治時代から行われていた節があります。 
 それは明治の文豪のこんな1篇に見て取れます。

 森鴎外の小説「雁」に登場する高利貸し末造の妾・お玉は医学を学ぶ大学生の岡田に慕情を抱く。が、その思いは実ることなく終わる。
 小説はこれで終わるのですが、どこかで見聞きしたドラマのラストシーンはこうでした。
 岡田にもう二度と会えないことを知ったお玉は不忍池のそばで日傘をくるくる回しながら笑顔で歩いていくのです。
 ここに当時のしたたかな女性の姿を見る人もいるかもしれませんが、今流にいえばお玉は傘を回しながら人生をリセットした、私にはそうも思えたのですが・・・・・。 

 積極的に生きようとする、前向きに生きようとする、そういう視点でみればリセットという考え方や行為はとても有益なものです。しかし、私たちには決してリセットできない場合もあることを承知しておかなければなりません。それは犯罪を犯したときなどです

 自分にはどうしてもリセットできない。けれどだれが見てもリセットした方が幸せになれるかもしれないことはもう一度1からやり直してみる価値があるものです。しかし、犯罪は違います。自分ではリセットすればやり直しがきくと思っているかもしれませんが、犯罪行為はだれが見ても決してリセットしてはいけないものであり、だれも幸せになる行為ではありません。きくところによると最近犯罪まがいの行動もリセットすればまたやり直せると思っている人たちが増え始めているとか。

 自分だけが人生や日常をリセットできないでいるのも困ったものですが、何でもリセットすればまた1からやり直せると考える人たちも問題なのです。
  
 ところで、私たちの健康についてはどうでしょう。
 ちょっと体調が悪いと薬を飲む、健康を維持したくてサプリメントを愛用する。こうして自分の不健康な状態や健康への不安をリセットしようとみなさん思っていないでしょうか。

 薬の服用は体調が一時的に良くなることも確かです。しかし、服用をやめると元の状態に戻ってしまうということもよくあります。サプリメントも飲み始めはとても元気が出たような気がしますが、続けているうち最初の時ほど大きな変化を感じなくなるという場合もあります。
 そう考えると薬やサプリメントは自分の体をリセットしたのではないのかもしれません。

 では私たちが行っている鍼灸はどうでしょう。
 鍼灸の中には「ツボ療法」といって何か症状があるとそれに効果があるといわれてきたツボにはり灸を施すことで苦痛を改善させようとする方法があります。それも鍼灸治療の一分野ですからその効果を否定するものではありません。しかし、これも一時的に症状を改善するだけで根本的な対処法とはいえません。

 これに対し、私たちが行っている「経絡治療」という方法は、心身を全体としてとらえ、五臓六腑や体全体を巡っている経絡という見えない経路のバランスをとることで健康を維持しようとするものです。そのため、局所の症状に対しての即効性にはやや難点がありますが、確実に体調を整えていきます。

 二十歳を過ぎた体は日々確実に衰えていきます。したがって10代の若さを取り戻すことはできません。でも、確実に健康を維持することはできます。のみならずアンチエイジングにも大きく貢献します。

 1回おいでいただいただけではその効果を十分ご理解いただけないかもしれませんが、継続的に治療することにより心身の変化を実感することができます。

 健康でありたい、アンチエイジングにチャレンジしたい。そんなあなた。
 私のところでなくとも結構ですが、「経絡治療」を看板にしている治療家の下で、ぜひ健康管理のための鍼灸を受けていただければと思います。